治療期間の短縮方法について

矯正治療期間を短くする矯正治療方法はありますか
はい。矯正治療期間を従来の治療法より早くするための方法はいくつかあります。
1.セルフライゲーションブラケットの使用
セルフライゲーションブラケットとは従来のブラケット装置と違い、ワイヤーとブラケット装置を結紮しないため、摩擦が生じにくく、歯がスムーズに早く移動できるのが特徴です。
また、摩擦が少ない為、弱い力で歯の移動が実現できるので、歯の移動に伴う痛みを軽減できる特徴もあります。


2.インダイレクトボンディングシステム(IDBS)
ブラケット装置を口腔内で直接接着する方法をダイレクトボンディングと言います。
この方法の欠点は、歯の正確な位置に装置を付ける時にズレが生じやすいことです。そのため、治療途中で付け直しをすることが多くなります。
また、一歯ずつブラケット装置を接着していかなければならない為、患者様がお口を開けている時間も長くなります。
一方、インダイレクトボンディングシステムとは歯の模型を基にして、口腔外で個々の歯の正確な位置にブラケット装置を位置づけします。
装着時には専用コアを作製するので、数歯分まとめて接着する事が可能となります。
そのため、装置装着時の診療時間も少なくて済みます。
また、矯正治療中の装置の付け直しが、著しく少なくできるので治療回数を減らすことができます。
インダイレクトボンディング
1~3の過程は10~15分以内に終了します。
1.歯の清掃をして接着前準備が
完了2.専用コアでブラケット装置を
歯にまとめて接着3.ブラケット装置接着終了
3.インプラントアンカースクリューの使用
インプラントアンカースクリューは生体適合性の高い純チタン製の小さなネジです。
これを顎の骨に埋め込むことで、歯を動かす固定源がしっかりとできる為、動かしたい歯だけを移動させることが可能です。
また、歯をまとめて動かすことも可能となり、効率的に歯の移動ができるため、治療期間を短縮させることができます。

4.RAPを利用する
歯の移動は骨代謝の活性により行われます。一般的に成人と比べて10代のほうが歯の動きが良いのは骨代謝(リモデリング)がより活発なためです。
RAPは Regional Acceleratory Phenomenon(局所加速現象) の略です。
これは骨や歯周組織に外科的・機械的な刺激を与えたとき、その周囲で一時的に骨代謝が活発になり、歯の移動が速くなる現象を指します。
RAPの効果は数週間から3カ月程と言われています。
臨床でのRAP使用例 Risk
- 抜歯直後からの歯の移動
抜歯直後は外科的侵襲の為骨代謝が活発となるため歯の移動がスムーズに行えます。
抜歯から1か月後
抜歯から2か月後
抜歯から3か月後
- マイクロオステオパーフォレーション(MOP)
専用のスクリューを使用して、顎の皮質骨に小さな穴を開けることにより骨代謝を活性させる方法です。